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遠慮なくがんの話ができる温かな場所『PeerRingピアリング 』をご存知ですか?

HEALTH 2018.04.11
遠慮なくがんの話ができる温かな場所『PeerRingピアリング 』をご存知ですか?

乳がんに羅患後、女性のがんサバイバーを対象としたコミュニティ型SNS『PeerRingピアリング 』を運営している上田暢子さんにインタビューを行いました。

がんの治療の経験談だけでなく、家族への伝え方を知りたかった

「私の場合は、全摘出でも部分切除でもどっちもでいける、というパターンだったんです。『全摘出するしか無い』と言われたらあきらめるのですが、選択肢があると迷いますよね。そういう時に、実際にそれぞれの方法を経験された方のお話を聞きたかったですね」
上田さんは2015年の年末に乳がんを告知され、2016年2月に左乳房全摘出をした。がんが見つかってから手術するまでに1か月強しかないという中で、決めないといけないことは多々あった。

「全摘出をしたら、次は胸の再建です。再建方法もいくつかあるので、経験者の方のお話を聞いてみたいと思いました。でも、リアルな体験談になかなか巡り会えなくて。そういうのをネットのコミュニティサイトで聞ければすごく良いのにな、と思って」
また治療の経験談だけではなく、家族へのがんの伝え方なども経験者に聞いてみたかった、と上田さんは語る。

「息子がちょうど小学校1年生で、まだ甘えん坊で。どう伝えるか迷ったんですけど、お風呂に一緒に入ったタイミングで『ママ、おっぱいに悪いものできちゃって。だから、おっぱい切るね』と伝えたんです。そしたら『切らないで。塗るお薬で治して』ってワンワン泣かれて、すごく心が痛みました。そんな時、皆さんはお子さんにどう伝えているんだろう、と知りたくなりました」

「遠慮なくがんの話ができる温かな場所を創りたい」

患者同士の交流といえば患者会があるが、日時や場所が決まっている集まりは、育児や仕事で忙しい女性にとっては参加するのがなかなか難しいのが現状。しかしインターネットのコミュニティ型SNSなら、PCやスマホがあれば空き時間に参加することが可能だ。上田さんは同世代でがんに直面する女性たちも、忙しくても、似た状況の仲間とのつながりを求めているはず、と罹患者ならではの想いを強くした。

結果、上田さんは体調の回復した2017年に“女性のがんサバイバーを対象としたコミュニティ型SNS『PeerRingピアリング 』”を立ち上げた。
それまでWEB制作会社などに勤めたことは無かったという上田さんがサイトを立ち上げることができたのは、“出会い”が大きいという。
「ある勉強会へいって、『私は経験を活かしてこういうことをやりたい』と言ったら、じゃあ作りましょう、と技術者の方に言っていただいて」
それででききたサイトを見て「これは本当に使える」と思った上田さんは女性がんサバイバーのためのコミュニティを育てることに、今後の時間を使おうと決心。長年勤めた職場を退職したという。


上田さんは『PeerRingピアリング 』を立ち上げるにあたり「遠慮なくがんの話ができる温かな場所を創る」という目標を持って臨んだ。
「やっぱり『みんなで支えあう』という生きた意思のある場を創りたいと思って。今では“ガン友”もたくさんできました」
ガン友とは、がんに羅患している方同士の友だち関係を指す言葉だ。病気になった際、近くに相談をできる人がいないと孤立した気持ちになりがちだが、このサイトで、似た状況の仲間とはげましあえることによって、メンタル面を支えられている患者は多いだろう。
「おかげさまで、とっても雰囲気がいいんですよ。『PeerRingピアリング 』は似た状況の方とつながり治療中のつらさも小さな喜びも共感しあえるのが良いところ。経験者にしか分からない闘病生活の工夫などを情報交換できることも強みです」

『アピアランスケア』(見た目ケア)についての情報が人気

しかし、手術後、まだ療養中の身で自分以外のことを考えられるのは凄いことではないだろうか。
「コミュニティ型SNSは絶対にニーズがある、と思ったんです。みんなスマホを持っているので、あったら多くの方が喜んでくれるだろう、と。ネットで繋がれれば、忙しい女性にとっても使いやすいだろうと思いました」

『PeerRingピアリング 』の見どころについてうかがうと、「『アピアランスケア』(見た目ケア)についての情報に力をいれている」という返事が返ってきた。

「また、乳がんではどうしても乳房にメスを入れるので、乳房切除後のボディラインをカバーする下着の話なども、すごく盛り上がります」
あとは、抗がん剤中の脱毛対策も、関心の高いトピックだという。

「抗がん剤で髪だけでなく眉毛やまつげまで全部抜けてしまって、落ち込んでしまう方が多いのですが、そんなときのメイク法やウィッグのアレンジなどについて情報交換し、つらさもお洒落の楽しさに変えています」

がん患者のQOL向上につながる優れた製品・サービスをもつ企業は沢山あるものの、まだまだ必要な人に情報が届いていない、と上田さんは感じている。
「がんのセミナーに参加すると企業の協賛ブースがたくさん出ていて『こんなグッズもあるんだ』と感心するのですが、そういう場へ行かないと自分の病院の売店にある一種類のケアグッズだけしか知らなかったりするんです。ですので、アピアランスケアを中心に、サバイバー女性の生活の質を向上させる情報の発信に力を入れていきたいと思っています」

外で弱音を吐けない人の孤独を癒やす存在に

さらに、今後は「日常生活の乗り切り方」も発信していきたい、と上田さんは語る。
「みんながなかなか話せないこと…、例えば、『旦那さんとの関係やお金についての悩みなども、吐露できる場が必要です。そして、家族とのコミュニケーションや、経済的な知識など病院では得られない、生活に寄り添った情報も を発信していきたい。治療の方法はたくさん情報があるけど、がんになったことによってぶつかる生活の中での壁。それを乗り越えるための情報って少ないんじゃないかって」


『PeerRingピアリング 』には告知直後の人が訪れることが多いという。
「告知直後の方は、本当に落ち込んで、不安と混乱の中でサイトを訪れる方が多いのですが、ピアリングの中でちょっと先に同じ経験をしている方から、『分かります、本当につらいですよね』『でも、一緒に治療を頑張りましょう!』と共感とはげましのコメントがあふれると、みるみる治療に前向きになっていくのが、ネットを通しても感じられます。 なんと、落ち込んでサイトを訪れた一週間後には、次に告知のショックを投稿してきた人に、優しいはげましのコメントを入れる方も多いとか。
仲間とつながることで、すごく元気になれるのかな。やっぱり孤独な闘病ってつらいですよね。1人で自立している女性は、仕事を簡単に辞めるわけにはいかないし。がん罹患を理由に次の契約更新が無くなることもあるので、外では弱音も吐かず、内面ではとても悩んでいる方が多い中、『PeerRingピアリング 』の存在が大きな支えになっていると言って頂いています」

●Peer Ring https://peer-ring.com/

 

株式会社リサ・サーナ  代表取締役 上田暢子さん

2016年 乳がんと心臓腫瘍のW罹患。治療中に、 絆をつむぐ温かなソーシャル・ネットワーキングサービスを提供したいという思いでPeerRing(ピアリング)を構想 、 2017年7月Peer Ring事業を本格的にスタート。

〇ピンクリボンアドバイザー 
〇NPO法人キャンサーネットジャパン認定BEC(乳がん経験者コーディネーター)

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